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Blender × LKG ワークフロー — モデリングからキルト出力まで

概要

Blender は、Looking Glass(LKG)向けコンテンツ制作において中心的な役割を果たす 3D ツールです。 本記事では、Blender を使った LKG コンテンツ制作の全体的なワークフローを解説します。 主に以下の 3 つの工程をカバーします。

  1. 3D モデリングとマテリアル設定 --- LKG で映える立体表現のための制作テクニック
  2. キルト画像のレンダリングと出力 --- AliceLG プラグインを使った静止画キルトの生成
  3. キルトアニメーション制作 --- VRM モデルの活用からキルト動画への変換まで

Blender のバージョンは 3.6 および 4.2 での動作が確認されています。


環境構築

GPU レンダリング設定

Blender で Cycles レンダーを使用する場合、GPU を有効にしないとレンダリングに非常に時間がかかります。以下の手順で必ず GPU を設定してください。

  1. 設定画面を開く
    • メニューから Edit > Preferences > System > Cycles Render Devices を開きます
  2. レンダリングデバイスを選択する
    • NVIDIA RTX シリーズをお使いの場合は OptiX を選択し、搭載 GPU にチェックを入れます
    • RTX 以外の NVIDIA GPU をお使いの場合は CUDA を選択してください
  3. デフォルト設定の注意点
    • 初期状態では「None」に設定されており、CPU のみでレンダリングが実行されます
    • キルト画像の出力では数十枚の画像を連続生成するため、GPU 設定は必須です

GPU 演算の効果

マテリアルやライティングが複雑なシーンでは、GPU 使用率が 5% から 70% まで変動しながら処理が進みます。 それでも CPU のみの場合と比較すると大幅に高速化されます。

AliceLG プラグインのインストール

AliceLG は、Blender から LKG 用のキルト画像やキルトアニメーションを出力するためのプラグインです。

ダウンロード: GitHub リリースページ (https://github.com/regcs/alicelg/releases) から AliceLG.zip のみダウンロードしてください(他のファイルは不要です)。

重要

ダウンロードした ZIP ファイルを 解凍しないでください。ZIP のままインストールに使用します。

インストール手順

  1. Blender の上部メニューから Edit > Preferences > Add-ons を開きます
  2. 右上の ▽ ボタン をクリックし、「ディスクからインストール」を選択します
  3. ダウンロードした AliceLG.zip を ZIP のまま選択します
  4. Alice/LG という項目が一覧に追加されるので、有効化します
  5. Blender の再起動を求められるため、一度終了して再起動します

プレビューの制限事項: LKG 実機でのプレビュー機能は ソリッドモード でのみ動作します。ライティングや反射の質感確認が必要な場合は、レンダープレビュー(Render View)を使用してください。


キルト画像の出力

カメラ設定

AliceLG プラグインを導入すると、LKG 専用のカメラを設定できるようになります。

新規カメラの作成手順

  1. シーンコレクションタブの右側にある 矢印(<) をクリックします
  2. 表示された入力フィールドをクリックし、Camera を選択します
  3. LKG 用の新しいカメラがシーンに追加され、プレビューボタンが表示されます

プレビュー操作: プレビューボタンを押すと LKG 実機に立体画像が表示されます。表示されない場合は display: 欄から LKG デバイスを指定するか、更新ボタンを押してください。

キルトフォーマットの設定

  1. Use Device Settings のチェックを 外します
  2. Quilt: ドロップダウンから出力したいフォーマットを選択します
  3. 描画範囲の開始・終了を調整し、見せたいオブジェクトがカメラ内に収まるようにします

レンダリング設定

Blender には 2 つのレンダリングエンジンがあり、用途に応じて選択します。

エンジン特徴推奨用途
Cycles高品質・物理ベース。反射や光の表現がリアル最終出力・高品質キルト画像
Eevee高速・リアルタイム。品質は控えめプレビュー・テスト出力

出力先の指定

  • 出力設定パネルからフォルダパスを指定します
  • パスの末尾に ファイル名 を含めてください(例: /output/quilt_result.png
  • 設定が完了したら「Render Quilt」をクリックし、処理が終わるまで待ちます

出力時の注意

ファイル名を変更しないでください

Blender から出力されるキルト画像のファイル名(例: Quilt_Render_Result_qs5x9a0.56)は、 絶対に変更しないでください

ファイル名には LKG が画像を正しく解釈するための情報(列数・行数・アスペクト比)が含まれています。 名前を変更すると、Looking Glass Blocks でのプレビューや Looking Glass Go での表示ができなくなります。

LookingGlass Blocks へのアップロード

  • キルト画像をホログラムに変換するには、LookingGlass Blocks に画像をアップロードします
  • アップロード後、処理が完了すると LKG 実機で表示できるようになります

3D モデル制作のコツ

LKG 向けの 3D モデル制作では、通常の Blender 制作とは異なるポイントがいくつかあります。

マテリアル設定

  • 内側から発光するマテリアル を設定すると、LKG 上で印象的な立体表現ができます
  • 基本マテリアルと発光用マテリアルを組み合わせることで、宝石のような質感を再現できます
  • Blender のバージョンによってマテリアル項目の名前が異なる場合があるため、注意してください

ビューポートとレンダリングの違い

  • ソリッドモードのビューポートでは、反射やライティングの結果が 正確に表示されません
  • 実際の反射光や質感を確認するには、必ず レンダービュー に切り替えてください
  • ビューポート右上のシェーディング切り替えボタンから変更できます

レンダリング時間の目安

キルト画像は複数カメラアングルからレンダリングを行うため、通常よりも大幅に時間がかかります。

条件目安時間
シンプルなシーン(LKG Go 向け)約 100 分(1% / 分 程度の進行)
マテリアル・ライティングが複雑なシーン半日以上
4K / 8K 解像度での出力さらに長時間

レンダリング中の注意

出力中にキルト画像が横に引き伸ばされて表示される場合がありますが、 実機で見る場合は問題なく表示されるため心配は不要です。


キルトアニメーション制作

VRM モデルとアニメーション

VRM モデルを使ったアニメーション付きキルトを作成する場合、以下のアドオンを導入します。

アドオン用途
VRM ImporterVRM モデルの Blender へのインポート
Animation Retargetingアニメーションの別モデルへの適用

いずれも ZIP でダウンロードし、AliceLG と同様の手順でインストールします。 アニメーションソースは Mixamo から FBX 形式でダウンロードできます。

リターゲティング手順

  1. FBX ファイルと VRM ファイルをそれぞれ File > Import からインポートします
  2. N キーでサイドメニューを表示します
  3. VRM モデルのアーマチュアを選択した状態で、ソースに FBX のアーマチュアを指定します
  4. Create ボタンを押し、その後 Guess ボタンでボーンを自動マッピングします

レンダリング時間の見積もり

キルトアニメーションのレンダリングは非常に時間がかかります。計算例は以下の通りです。

135 フレーム × 約 3 秒/フレーム × 66 枚/キルト = 約 6 時間以上

アニメーション設定の注意点

  • アニメーションの 終了フレーム を正しく設定してください(画面右下の「終了」の数値)
  • 設定を忘れると、静止したフレームのキルトが大量に生成されてしまいます
  • 処理が途中で落ちた場合は、LKG タブから途中で再開 することができます

アニメーション → 動画変換

キルトアニメーションの連番画像を動画ファイルに変換する手順です。

  1. Blender のメニューから File > New > Video Editing を選択します
  2. Add > Image から、出力されたキルト画像をすべて選択して追加します
  3. プロパティパネルで以下を設定します
    • 解像度: キルト画像の解像度に合わせます
    • 終了フレーム: 画像の枚数に合わせます
    • 出力先: 動画ファイルの保存先フォルダを指定します
  4. Render > Render Animation を実行します

ファイル命名規則

出力された動画ファイルは、以下の命名規則に従ってリネームしてください。

{任意の名前}_qs{列数}x{行数}_a{アスペクト比}.{拡張子}

例: dance_animation_qs5x9_a0.56.mp4

Blender でキルトアニメーション出力時のファイル名がこの形式であれば、そのまま使用できます。 完成した動画を Looking Glass Studio に読み込ませると、LKG 実機で再生できます。


既存ファイルでの作業

既にモデルが完成している Blender ファイルにキルト出力機能を追加する手順です。

カメラのセットアップ

  1. AliceLG プラグインが導入済みであれば、サイドパネルに Looking Glass タブ が表示されます
  2. Camera Setup ドロップダウンからメインカメラを選択すると、LKG カメラにオーバーライドされます
  3. 新規でカメラを追加したい場合は + ボタン を押してください

画角の調整

  • 新規カメラの場合、デルタトランスフォームのスケール を調整することで広角にできます
  • 描画範囲は Unity の Hologram Camera と同じ感覚で調整可能です

不要なオブジェクトの整理

  • テスト用のアルコーブモデルなど不要なオブジェクトは削除してからレンダリングしてください
  • オブジェクト数が多いほどレンダリング時間が増加します

まとめ

Blender × LKG のワークフローでは、以下のポイントを押さえることが重要です。

項目ポイント
GPU 設定Cycles 使用時は OptiX / CUDA を必ず有効化する
プラグインAliceLG は ZIP のままインストールする
ファイル名キルト画像のファイル名は変更しない
レンダリング時間複雑なシーンは半日以上かかることを想定する
アニメーション終了フレームの設定忘れに注意する
プレビューソリッドモードのみ対応。質感確認はレンダービューを使う

参照元記事: 村井「BlenderでLookingGlass向けのキルト画像を作成」 / 松崎「LKGBlenderプラグイン検証」「LKG用Blenderモデル制作」